のこだわり

たんや善治郎の牛たん焼きは塩味しかありません

昭和20年代に発祥した当初の「仙台牛たん焼き」の特徴は、1本の牛たんを1枚ずつ切り身にして、塩味で寝かせてから炭火で焼いて提供することでした。
現在ではみそ味やしょうゆ味といった多様な種類の牛たんが存在しますが、昔ながらの牛たん焼きといえば
やはり「塩味」が定番。たんや善治郎の牛たんは牛たん本来の素材の旨味を活かしつつ、牛たん焼きを一番シンプルに美味しく食べられる「塩」にこだわっています。

塩・にがりについて

たんや善治郎では、牛たんの味付けに「天日塩」を原料とした塩を使用しています。
「天日塩」とは太陽熱や風などの自然の力を利用して塩を作る製法の事を言い、約2年かけて段階的に海水からゆっくりと水分を抜いていく方法です。
気候の特性上、天日塩を作るための塩田は日本にはあまり多くはないため、海外から輸入したものを使用しています。
海外から輸入した天日塩をさらに日本の海水で溶かし、砂などの不純物を取り除き、きれいな濃い塩水をつくります。
できあがった濃い塩水をさらに煮詰めて塩の結晶を作り、結晶化した塩を数日間じっくりと自然乾燥してようやく塩が完成します。
海水を煮詰める過程では「にがり」が発生します。この「にがり」が塩にほどよく含まれることによりほのかな苦みや甘みが感じられ、牛たんの旨味が増すのです。

粉挽き塩を使う理由

たんや善治郎の牛たんは仕込みの過程で「粉挽き塩」を使用します。
細かく挽くことでまろやかな味になり、塩の旨味が引き立ち口当たりがよくなります。
さらに塩の粒が小さいため牛たんにもすっと味が浸透し馴染みやすくなります。
粉挽き塩を使用する理由はもう一つあります。
牛たんの仕込み工程のひとつに塩の「手振り」があります。「手振り」は牛たんの表面に塩を振り、塩加減を目視で確認しながら1枚ずつ味付けする工程です。塩を挽く前の粗塩は白く見えずらいために 塩加減の調節が難しいのですが、粉挽き塩の場合はハッキリと塩の量が見えるため、ほど良い塩加減で味付けすることができます。
牛たん塩焼きを美味しく食べていただくために、たんや善治郎ではこの一手間にこだわります。


牛たんの熟成に関して

「仙台牛たん焼き」の特徴のひとつに「熟成」があります。
たんや善治郎の牛たんを熟成させる手法は、粉挽き塩により均一的に塩を浸透させ、余分な水分を除くことでうまみを凝縮させ、真空パックをして空気に触れさせない状態で保管する「ウェットエイジング」という方法です。
一般的に「熟成肉」には明確な定義はありませんが「仙台牛たん焼き」の「熟成」に関しては、牛たんのうまみ成分と風味を増すために行うことと、昔は現在のように冷蔵設備が整っていなかったために、塩を使い余分な水分を除き、保管期間を長くする目的もあったのではと考えられています。 味付けに粉挽き塩を使うことにより、熟成中、均一的に牛たんに塩分がなじみ、塩気を残したまま塩のカドがとれたまろやかな味になります。