冷凍方法のこだわり
たんや善治郎の牛たんは、液体急速凍結機で冷凍しています。
液体急速凍結とはパックした食品を-30℃の液体(アルコール)で急速に冷凍する方法です。
家庭で生肉を冷凍すると、解凍後「ドリップ」と呼ばれる赤い液体がしみ出てしまうことがあります。
ドリップにはたんぱく質やアミノ酸塩類、ビタミンといった“うまみ成分”が含まれており、これが出てしまうことで食品の味や品質が低下してしまいます。
しかし、液体急速凍結機で冷凍した牛たんは解凍後にドリップがほぼ出ません。
液体急速凍結の特徴は解凍後でも生に近い状態を維持できる点にあります。
液体急速凍結後の牛たんの色合いについて
私たちが普段目にするかき氷やロックアイスなどで使用する氷は時間をかけて凍らせるため透明度が高く透き通っていますが、冷凍マグロなどのように鮮度のいい状態を保つため水揚げ後すぐに急速に冷凍されたものは、マイナス60度という超低温で急速に凍らせることで白みがかった色合いになります。
善治郎で行っている液体急速凍結は前述の冷凍マグロなどと同様に短時間で急速に凍結させる方法のため、凍結後の牛たんは透明度が低い白みがかった色になります。
また、酸化防止剤などの添加物を加えていないため、正しく冷凍庫で保管している場合でも時間の経過とともに少しづつ色味がくすんでしまうのです。
解凍後も色はくすんだままなので、普段見ている生のお肉と違い不安になるかもしれませんが、冷凍状態でお届けされた牛たんをすぐに冷凍庫に入れてしっかり保管し、期限内に調理してお召し上がりいただければ品質には問題ございませんのでご安心ください。
液体急速凍結後
一般的な冷凍との違い
一般的な食品に使われる業務用冷凍庫は「冷たい空気」で冷凍しますが、液体急速凍結は「冷たい液体」を使って冷凍します。
冷凍において重要なポイントは「熱を奪うチカラ」。
例えば、90℃のサウナには気持ちよく入れますが、電気ポットから出る90℃の熱湯に触るとやけどを負ってしまいます。同じ温度でも液体は気体よりも熱を伝えるチカラが強いという特徴があります。
また、液体の熱伝導のチカラを利用して食品を冷凍すると、-30℃の液体であっても-100℃の窒素ガス凍結の約8倍のスピードで急速冷凍することができます。
つまり、液体は熱伝導率が非常に高いといった特徴があるため、冷たい空気で凍らせるよりも大幅に凍結時間を短縮することができます。
急速凍結をすると品質が向上する理由
食品には水分がありますが、冷凍をするとその水分は氷の結晶となります。
氷の結晶が大きくなると食品の細胞膜や細胞壁を破壊してしまい、そこからドリップが出やすくなります。
しかし急速凍結することで氷の結晶が一番膨張しやすい温度帯を素早く通過するため、氷の結晶の膨張をおさえ細胞破壊を防ぎ、解凍後も生に近い食感を維持することが可能となります。
氷結晶の膨張イメージ
解凍後のドリップの量
従来のエアブラスト(冷たい空気による冷凍)
解凍後に素材からドリップ(旨味成分)がしみ出てしまっています。
液体急速凍結機での冷凍
解凍後も細胞が破壊されない為、ドリップがしみ出ることはありません。
液体急速凍結機を導入した理由
私たちが皆様へお届けする牛たんは真空パックしたものを冷凍してお届けしております。
日頃、商品開発の過程で様々な牛たんを試食することがあるのですが、いつも感じていることは「牛たん焼きは冷凍しないほうが美味しい」ということです。
現実的には牛たんを冷凍せずそのまま冷蔵で流通させることは量や賞味期限の問題で難しいものです。
牛たんは贈答品としてもよくご利用いただく商品でもあるため、注文が集中するお歳暮やお中元の時期は仕込んだ牛たんを冷凍して大量にストックしておく必要があります。また贈答品として利用するお客様も
冷蔵の生肉となると受け取る側の都合や消費期限を考え、なかなか利用しづらくなってしまいます。
そんなある時、取引業者の展示会で衝撃的な出会いがありました。
それが液体急速凍結機「凍眠」(とうみん)です。
その展示会では「凍眠」を使ってこんにゃくゼリーを冷凍していました。一般的にこんにゃくゼリーや寒天、豆腐などは冷凍すると「す」が入り、解凍後は水分が抜けてスカスカな状態となり、味が劣化します。
※「す」とは、蜂の巣状に穴のある状態のこと
しかし「凍眠」で冷凍したこんにゃくゼリーを解凍し試食してみたところ「す」が入っておらず、食感も冷凍したとは思えないものでした。さらに、ブリの切り身を真空パックしたのちに「凍眠」で冷凍させたところ、その瞬間にブリの切り身の色が白みがかり、あっという間に凍ってしまいました。
凍ったブリの切り身を解凍し試食しましたが、生食の食感とほぼ変わらず、それまでの「食品を冷凍すると味が落ちる」という概念が吹き飛び、まさに「目から鱗が落ちる」の意味を身をもって体感しました。
そこから「牛たんも凍眠で冷凍すれば、解凍後においしく食べれるのではないか?」との思いが沸き上がりすぐにテストさせてもらいました。牛たんを「凍眠」で冷凍し解凍後に焼いて食べてみたところ、
牛たんを冷凍せずに焼いたような、みずみずしさが失われていない美味しさでした。
その後にも何度かテストを行い、液体急速凍結機「凍眠」の導入を決めました。
冷凍しているのに冷凍していないような食感と味わいは本当に衝撃的でした。そんな「生」の様な状態でお客様の元にお届けできることで、私どもが感じた衝撃を皆様と共有できることを楽しみにしております。